目次
はじめに
滋賀県で「ヘラゾウ」という昆虫ショップを営業している石田と申します。この記事では、ヘラクレスオオカブトの幼虫が大きくならない(育たない)原因とその対策を記載します。
マットが合っていない
そもそも幼虫に与えている土(マット)が幼虫の飼育用ではない可能性があります。例えば、クワガタ用のマットや、成虫飼育用のおがくずマット等では幼虫は育ちません。ヘラクレスの幼虫には、カブトムシの幼虫飼育用のマットを与えましょう。マットの袋(パッケージ)にカブトムシの幼虫飼育用と書いてあればほぼ間違いありません。不安であれば専門店に聞くのが確実です。
マットの状態が悪い
マットが劣化していると幼虫は大きくなりません。飼育ケースのサイズによっても変わりますが、3か月に一度は新しいマットに交換してあげましょう。下記の状態が悪い例です。
水分が多すぎ、少なすぎ
マット中の水分が多いと一瞬で劣化します。こだわりがなければ、マットを軽く握ってギリギリ塊になるくらいが、劣化しにくいので適切です。逆に水分が少なすぎてマットが砂状になっていてもダメです。
コバエが湧いている
コバエはマットの劣化の原因になります。とはいえ、コバエを永久的に全滅させるのは不可能です。マットをすべて交換することで一時的にコバエをなくすことはできるので、早めに交換してあげるとよいでしょう。
カブトムシの幼虫のフンまみれになっている
幼虫のマットを食べるスピードは凄いです。気が付くと飼育ケースの中がフンまみれになっています。すぐにマットを交換してください。
マットの泥化
マットは飼育ケースの中に入れると、マット内の水分によって劣化していきます。マットを軽く握って柔らかい(泥に近い、ニチャニチャしている)感触になっていたら、すぐに新しいマットに交換してください。
温度が高いor低い
温度が高すぎても低すぎても大きくなりません。適温は20℃~25℃です。また、29℃以上15℃以下になってしまうと、死んでしまう可能性があるので注意しましょう。
幼虫が病気になっている
劣化したマットで飼育をしていると、幼虫が病気になってしまいます。幼虫の体の一部が黒く変色してしまう病気で、「黒点病」といいます。黒点病になった幼虫は、大きくならないことがあります(病気でも大きく成長することもあります)。残念ながら病気を治す方法はありません。幼虫が病気にならないよう、常に新鮮なマットを与えてください。病気でも成虫になった例もあるので、あきらめずに最後まで飼育しましょう。
先天的な問題
元も子もない話ですが、生まれた時から大きくならないことが決まっている場合もあります。原因は様々です。種親が小さいおかげで子の成長も鈍かったり、生まれつき体が弱い幼虫もいます。この問題の根本的な解決方法はありませんが、なるべく累代の浅い(血が濃くなっていない)種親を使うことで対策できます。
おわりに
考えられる原因は以上です。上記の通り幼虫が大きくならない原因は様々です。どうしても原因がわからない場合は、最寄りの昆虫ショップに幼虫を見てもらうと究明につながりやすいです。状態を見てもらった後は、少額でよいので商品を購入してあげると親切でしょう。私としましても、お客様から非常に多くいただく質問です。この記事がお役に立てれば幸いです。